ミニアルバム「ラジオの夢」のオ-プニング1曲目「Address Unknown」は
おそらく多くの方々が(極端に豪放磊落な人を除いて(笑)この曲のエンディングに
入ったあたり(多分・・)から・・きっと・・いや・・もしかしたらかな?
・・ちょっと・・ウルって・・なるんじゃ・・ないかな・・って・・涙は無くとも・・感情が・・自然に・・
実は、これは僕のアイデアではありません
武部聡志の入魂のアウトロに、僕自身も・・熱い気持ちが生じて・・「ア-ッ」って
「お-うう・・タケベえ~・・やられたよ-!そう来たかあ~これは、さすがに・・ナイスアイデア
僕もジ-ンとしちゃった、まったく考えつかなかったヨ-・・やられました」
もちろん、この曲の「そこまでの歌詞の流れ、とメロディ-ラインを意識したストリングスなどの
アレンジ」が、すべて素晴らしい!からこそ・・このエンディングへと導かれるわけなのですが
「時代は先を急ぐ旅人のように、僕達を待ってはくれない・・・
早合点の君もノロマな僕も、みんな巻き込んで流れて行くよね・・・
それは君と僕にはどうしようもない、背負った荷物はどこに下ろせばいい・・・
あの頃ってなぜか皆んなこわい物知らず、間違いだらけのままで決断をしたよね・・・
あれはきっと夢だったんだ、今夜もそっと味わうビ-ルの泡の中・・・
ちょっと重たすぎて投げ出したい夜に、誰か話し相手になってもらいたくて・・・etc」
まあ、かいつまんで「こんな歌詞が流れて行く」わけです
そして・・その・・エンディング(フェイドアウト・・かな?って思わせて)・・あ!言っちゃった!
アハハ・・・ダメじゃ-ないかあ-・・・って・・・誰も言ってないのですが・・・
今回のアルバムで武部聡志が「やってみせたサウンド・アレンジメント」の奥の深さは秀逸でした
基本的に「生のストリングス・ブラス」はもちろん「ドラム、ベ-ス」等の基本的なリズムセクションを
すべてスタジオセッションで収録する、というアレンジメントは大正解でした
本当に「音楽って、いいなあ」が久しぶりに味わえた瞬間だったと感激しました
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「五月の風partⅡ」では
戻れない季節への哀愁と、今という現実を感じながらの「希望」を込めて
私たち「永遠の旅人」が、ラジオという「架空の青春」の空間で出会いながら
つかの間の休息を「共にしよう」と歌います
だから・・修正無し・・1発録りOKのボ-カルにこだわったのです
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3曲目は「骨まで愛して」
これはもう・・原曲の城卓也が歌うカントリ-系バンド風のアレンジが
あの頃の流行歌の中でも「斬新さ」で群を抜いていたし、エレキギタ-が聴こえるサウンドなんて
歌謡曲というイメ-ジでは、まさにnewだったので、僕が飛びついたのも当然だったと思う
「ぷらいべえと」というアルバムで敬愛する作曲家、浜口庫之助の「夜霧よ今夜も有難う」を
カバ-した時のレコ-ディングで、僕が8ビ-トのフラットロックなギタ-ストロ-クで
ドラムとベ-スを引っ張った時の「気持ち良さ」を再現したくて、アレンジの武部聡志に
デモテ-プを渡したら・・・さらに「上を行く」ノリノリのドゥ-ワップ感覚のブラスアレンジで
(アルト・テナ-・バリトンの、サックス3本によるセクションは最高!)
とにかく最高のフィ-リングを作り上げてくれて、思わずスタジオで歓喜の雄叫びを上げたのだ
また1つ「想い出に残るレコ-ディング」が増えた・・心から幸せである
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4曲目は「真夜中のレタ-」
フォ-クビレッジのテ-マソングは、当時は番組用だったので1コ-ラスの作詞だけだった
アレンジはアルバム「人間なんて」で、何とも流行のフォ-クミュ-ジックらしくない!!
むしろB,S,Tとかシカゴを意識した木田高介のアレンジによるブラスロックでのRecを選んだ
後に僕がフォ-ライフからインペリアルへ移籍し、鳥山雄二と二人だけで
旧曲のカバ-アルバムを発売した時に、このテ-マソングの2コ-ラス目を書き足して
「僕等の旅(CMソング)と合体させた「Oldies」を録音した
そして今回、やっと、この未完の・・されど大好きなメロディ-に「フルで作詞を完成」
胸を張って「この曲を聴いて下さい」と言える日が来た事がなにより嬉しい
「君の心に触れる夜 涙拭かずに歌いたい
君の言葉を抱きしめる 僕の気持ちを打ち明ける
今夜の僕等は 地上の星屑 せつない時間を旅する」
最後の曲は「主役」
「私のような高慢ちき 鼻持ちならない意地っ張り
私のようなへそ曲がり 何を言っても うなづかないよ
私のような自己ちゅう よせばいいのに強情っぱり
ついでに言えば引っ込み思案 つき合い下っ手くそ ごめんなさい
この世界中 私は たった1人の存在 私と同じ人間は この世に他にいやしない
私が歩くこの道 映画のようじゃないけど
主役はきっと私です 生きているからわかるのよ」
私たちは、この世に生を受けた時から「それぞれがそれぞれの」ドラマを演じる主役である
人生というドラマは、それこそ「生きてみないと」不可解なスト-リ-展開も含めて
予測不能であり、なかなか台本通りには進行してくれない
まあ・・だからこそ・・生きる歓びや驚き・・に出会える瞬間が楽しみでもあるのだ
このアルバムを聴いていただいた皆さまが
ほんの一瞬でも、ご自分の「蒼かった青春」に想いを翔ばして
笑顔になられる事を心より願っております
そして今夜は是非・・・1杯のビ-ルで・・・ご家族で乾杯を
ビ-ルの「泡」が消えるように、私たちの「蒼い夢」も美しく消えて行きますよ
2024年11月20日 拓郎