辻井伸行

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2022年11月4日


イギリス ブレイントン・リサイタル・ソサエティ

リヴァプールでのリサイタルを終え、列車を乗り継ぎロンドン近郊のWokingという街に滞在しました。ロンドンのウォータールーまでは電車で30分ほど。この町からロンドンへ通われる方も多いと伺いました。

今回の演奏会は、主催者さんのご自宅を開放してリサイタルシリーズを企画されていて、その一環での演奏会となりました。お客様も50名様限定。日本の河口湖では100名様限定の演奏会を行いましたが、今回はさらにその半分。お客様の息づかいも十分に感じられる距離での演奏です。演奏する前は戸惑うかと少し心配しましたが、これほどまでにお客様と一体となって演奏している感覚は今まで経験した事がありませんでした。お客様からはとても近い距離から心のこもった拍手をたくさん頂戴しました。アンコールではドビュッシーの《月の光》とリストの《ラ・カンパネラ》を演奏しました。

今回は個人のご自宅での演奏会という事で、楽屋も普段ご家族が使っている部屋を拝借しました。なんだか友達の家に呼ばれている雰囲気でしたが、お陰様でとてもリラックスして準備を整えることが出来ました。終演後もご来場されたお客様から直接感想を伺えたり、主催者さんのご家族と一緒に主催者さんに作って頂いた夕食をご馳走になったり、まさにアットホームという言葉がピッタリの会場でした。

このようなリサイタルシリーズを既に100回以上行われてきたという事。著名なアーティスト数多くが出演されている一方で若く才能のある演奏家もこちらの舞台でコンサートを行っています。このような形で音楽家の活動をサポートして頂けることは本当に心強く有り難いことと感じました。