辻井伸行

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2019年12月15日

オランダ アムステルダム

2019年12月15日

オランダ アムステルダム

 オランダのアムステルダムに来ています。今から丁度1か月前に急遽今回の演奏会出演のお誘いを頂きました。会場は有名な音楽の殿堂、コンセルトヘボウ。本来ブラジル人ピアニストのネルソン・フレイレ氏による同氏の75歳を記念する重要な演奏会でしたが、公演がキャンセルとなり、その代役という事でお話を頂きました。

 プログラムは色々と考えた末に、バラード4曲とスケルツォ4曲を一晩で演奏するという「特別プログラム」で臨もうと思いました。この8曲を一回のリサイタルで披露する事は自分にとっても大きな挑戦でしたが、フレイレさんの代役という重責を果たすためには、その位の意欲で臨むべきだと考えた末に決断しました。

 演奏前は音楽の盛んなオランダの、しかも耳の肥えたコンセルトヘボウのお客様を前に、自分の演奏が通用するかと期待と不安が入り混じる複雑な気持ちでしたが、演奏が始まると、お客様に集中して聞いていただけていることが身に染みて感じ取れ、客席と一体になったかのような感覚の中で演奏を披露する事が出来ました。演奏終了後はスタンディング・オべーションで迎えて頂き、本当に感動しました。アンコールではショパンのノクターン第20番とリストのラ・カンパネラを演奏しました。

 このような貴重な経験が積める演奏会に出演させていただけるという事で、全力を尽くしてオランダ・デヴュー公演に臨みましたが、演奏会から1晩を経た今はようやく少し安堵した感覚が戻ってきました。フレイレさんが早くご回復され、再び素晴らしいピアノを聞ける日が来る事を祈っております。

 この演奏会が今年の仕事納めとなりました。少し早いですが、皆様どうぞ良いクリスマスと良い年をお迎えください。来年も良い演奏をお届けできるよう、努力して参ります。

 来年も宜しくお願い致します!