2002年9月22日。三連休の真ん中のこの日の雲行きは怪しく、雨は降ったり止んだりを繰り返す。そんな初秋の空の下、九段下周辺だけは夏を思わせる熱気が漂っていた。
 武道館の入場口の上にはツアータイトルの大きな看板が掲げられ、その左下ではコンサートグッズを買い急ぐ長蛇の列。開演15分前、会場に足を踏み入れるとすでにほとんどの観客が着席し、今日のステージの始まりを心待ちにしていた。
 『DA PUMP TOUR 2002 "the NEXT EXIT"』最終日。彼らの夏の最後を飾る日は、観客にとっても2002年の夏の最後を彩る重要な一日。

   ステージ上のオブジェが妖しく光を放ち始める。それは命を吹き込まれたかのように上昇し、それが最上段まで達すると同時に、ステージの上下あちこちからメンバーが登場。まるでサーチライトの中を逃走していくギャング達のように、ピンスポットで切りとられていく彼らの姿。黒いエナメルの衣装に身を包み、颯爽と構えるガン?良く見ればそれはガン型のマイク。激しく、そしてクールに、オープニングの「Thrill」。

 YUKINARI「みんな一年間元気でしたかー?」
 SHINOBU「今日来てくれた皆、ハイサイ!」
 KEN「ようこそいらっしゃいましたー!」
 ISSA「こんばんは!武道館最後というこの日をこんなにたくさんの仲間と迎えることができて嬉しく思っています。」
 そして「最後までかかってこいよ!」の声とともに「Angelize」「Celebrator」へ。MC中に上着を脱ぎ、艶のある素材の白のノースリーブへと衣装がえをして爽やかに魅せる四人。椅子を使ったパフォーマンスやダンサーとのコンビネーションなども交え、目を離す隙を与えてくれない。

 幻想的なライティングの中、ISSAの静寂を破るような歌声が響いた。彼のソロ、「Somebody」。切ない曲を歌い上げる彼はボーカリストとしての存在感を観客に存分に見せつけてくれた。
 まるで夢の中のようなひとときが過ぎ去ると、KEN、SHINOBUとYUKINARIもステージに登場。ボーカル、コーラス、ラップの掛け合いが絶妙な大人のナンバー「Sparkle」へ。

 MCをはさみ、小休止。このツアーのタイトルにもなっている今年の2月に発売されたアルバムの話に触れ、「アルバムの中からこの曲いってみたいと思います。"Forever This Time"。」切なく語るようなメロディや、優しいハーモニーが印象的な、こちらも大人っぽい曲だ。
 そして曲の終わりと同時に後ろに倒れるようにステージから消えた四人。「Steppin' and Shakin」コーラスのJINとTOMMYが叫びだし、瞬時に衣装がえをした四人が登場。私服に近いイメージのカジュアルなスタイルがこれからのアグレッシブな展開を期待させる。「Steppin' and Shakin'」から「Hey! Hey! Hoo!」の聞き覚えのあるフレーズへ。「Hey yo! 武道館! まだまだ行くでしょう!!」そしてそのまま「One and Only」へとつなげ、最後はまた「Steppin' and Shakin'」へともどり、観客のテンションは急上昇。歓声が一際高く響く。