
このたびWALL_alternativeでは、2026年3月11日(水)から4月11日(土)まで、日本人ならではのものづくりに宿る精神性、人の手による営み、そして時間の重なりを主題とする展覧会「QUIET CLASSIC」を開催いたします。
先人たちが遺してきた技法や行為は、時代を超えてなお静かな輝きを湛えています。一方で、変化の速度が増す現代において、丹念に受け継がれてきた営みが視界の外へと遠ざかり、静かに失われつつあることも事実です。
本展「QUIET CLASSIC」では、そうした根源的な営みを起点に、日本の伝統的な素材や技法を土台としながら、現代的な視点と実験性を加えることで、繊細さと力強さを併せ持つ4名の作家の作品を紹介します。
銀箔を主素材とし、空間と関係性を結ぶ作品を制作する福田周平は新作を含む作品群を展示。漆作家・染谷聡は、漆と自然物を組み合わせた代表作〈みしき〉シリーズを、本展のテーマに呼応するかたちで再構成し展示します。視覚と記憶の差異を主題に制作を続ける神谷遼は、下山明彦との名義による《あの場所》の新作を通して、角度によって変化する色彩を通して視覚の不確かさを提示します。
工芸的背景をもつ編み籠と量産的背景をもつ合板を編み上げる佐藤伸昭は、2mに及ぶ大型作品を展示します。また、会場には、Tokyo Productによる熊本県産イグサのチェアを設置。作品と向き合う時間に、静かな奥行きを添えます。
4名の作家の作品を通じて本展が示すのは、過去の様式をそのまま継承することではありません。受け継がれてきた素材や技法を基盤に、「クラシック」という概念をいまの視点から捉え直す試みです。
変わり続ける時代のなかで、それでも残り続けるものとは何か。本展は、その問いに光を当てます。
また、併設のバーでは展覧会コンセプトを味覚でも体験いただける特別メニューを展開します。「良いワインは素材から」を掲げる【シャルマンワイン】と、山梨県のブランド魚【富士の介】によるワインペアリングを提供。さらに、「京都を拠点にお茶の多様性を大切にしながらその可能性を探求・発信する〈7T+〉のキュレーションによる、阿波番茶と台湾ジャスミン茶のジェラートと、それぞれに寄り添うお茶も期間限定でお楽しみいただけます。
初日の3月11日(水)にはオープニング・レセプションを開催。アーティストも在廊を予定しておりますので、ぜひこの機会にご来場ください。
※申し込みはこちら:https://forms.gle/vRcqfq5vNByhh6LZ8
神谷遼 / Ryo Kamiya

2002 年生まれ。
2021 年東京藝術大学デザイン科入学。 大学ではデザインという分野を学びながらも、アートとデザインの境界に関心を持ち始めた。 機能や目的を重視するデザインの領域の中で、「見る」「伝える」という行為そのものの曖昧さや 、感覚的なズレが生まれる瞬間に強く惹かれた。特に、写真やモニターなどデジタルメディアで 再現された映像と、人間の視覚によって捉えられる世界との間に生じる差異、 そしてその中に現れる “視覚的なバグ” をテーマに、平面・立体を問わず作品を制作してきた。
また、所属しているアートコレクティブ「Art corrective ALT」では、企業や自治体を対象に アートを用いたワークショップを行い、そこから得たインスピレーションをもとに、 その団体を象徴する作品を制作するというプロジェクトを展開している。 アートを通して組織や地域の理念を可視化し、対話を生み出すことを目的としている。 作品制作と社会との関わりを結びつけるこの活動は、私自身にとって「アートを社会に開く」 という意識を強く育てる契機となっている。
Instagram:
https://www.instagram.com/yankami0122/
佐藤伸昭 / Nobuaki Sato

2023年 / untitled(stand hammer#01)
武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業後、東京を拠点に活動。素材の背景や文脈に着目し、構造や加工方法への多角的な視点を通じて、物に宿る意味や関係性に新たな気づきを促すような制作を行っている。
Instagram:
https://www.instagram.com/nobuakisato8/
染谷聡 / Satoshi Someya

みしき/vessel for landscape 展示風景. ‖2024‖ 撮影: 黒元雅史 Courtesy of GALLERY crossing
1983年東京都生まれ。幼少期の6年間をインドネシアで暮らし、装飾行為に関心を持つ。2014年、
京都市立芸術大学大学院工芸科 漆工専攻 博士課程修了。漆を単なる工芸素材ではなく、時間や文
化、感覚を媒介する「メディア」としての液体ととらえ、「装飾」を人と自然、歴史との交感を可
能にする読み物として表現を行う。2015年、京都市芸術新人賞受賞。近年の展示に、「漆表現の現
在」(金沢21世紀美術館ギャラリーA/2024年)、「オマージュ・琉球漆器」(浦添市美術館/
2025年)、「根の力」(大阪日本民藝館/2021年)、「札幌国際芸術祭|特別編」(北海道立近代
美術館想定/2020年)など。
福田周平 / Shuhei Fukuda

Photo Noam Levinger|2025年 / Stillness 010, Japanese paper, Silver leaf, Cinnabar, Iron frame,
群馬県出身。2026年春より東京/京都を拠点に活動。現代アーティスト。
日本画への研鑽を経て、日本の伝統的な素材と技法を基盤にしながら、銀箔を主な素材に、現代的なアプローチを試みている。特に銀箔を自然に放置することで生じる変色を、作家と素材との緩やかな関係性の表象として捉え、素材や作品の物質性を強く表面化させる。さらに、制作過程においては銀の変色を促す化学素材として硫黄の粉末も用い、自然と人為のあわいに立ち現れる変化そのものを作品化することで、自然のありのままを重んじる東洋的な自然観と美的感覚を探求している。空気や湿度、光などの自然条件と素材の反応が生む不可逆的な変化を作品として提示することにより、完成を固定せず、時間とともに変容し続けるプロセスと空間との関係性を探求している。
Instagram:
https://www.instagram.com/shuhei.199431/
Tokyo Product

甲田 ヨシアキ|デザイナー/アーティスト
東京生まれ。化粧品会社のインハウスデザイナーを経て、2016 年に株式会社 Tokyo Product を設立。
パッケージにとどまらず、ジャンルを超えて国内外でデザインやアートディレクションを担当。
2024 年、世界初のイグサ縄を編んで制作した《IGUSA ROPE CHAIR》を制作。
2025 年、スウェーデン・Stockholm Furniture Fair にて出品。
国内では、スパイラル青山「いま畳を語るとき」、Ginza Sony Park「つながるイグサ展」に出品。
IGUSA ROPE CHAIR は、畳の上で過ごす心地よさを、現代の生活様式や海外でも受け入れられるデザインを目指して制作しました。約 12 畳分の国産イグサを使用し、座ると畳の香りに包まれます。
イグサは繊維質でありながら柔軟性を併せ持ち、見た目の印象とは反対に、やわらかな座り心地です。
急速に進む AI やデジタル社会とは対照的に、人が育てた植物を、人の手で編み上げた手仕事の結晶です。
IGUSA ROPE CHAIR は、人間が本来持っている感性を、静かに呼び覚まします。
Instagram:https://www.instagram.com/tokyo_product/
【OPENING RECEPTION】
日程:2026年3月11日(水)
時間:18:00-21:00
※21時以降は通常営業
※事前申込制/入場無料
会場:WALL_alternative(東京都港区西麻布4-2-4 1F)
お申し込みURL:https://forms.gle/vRcqfq5vNByhh6LZ8
【展示概要】
QUIET CLASSIC
– Forms shaped by hands, time, and quiet belief.
アーティスト:神谷遼、佐藤伸昭、染谷聡、福田周平
会期: 2026年3月11日(水)〜4月11日(土)
※日曜定休
時間:18:00-24:00
会場:WALL_alternative(東京都港区西麻布4-2-4 1F)
入場:無料・予約不要
企画・主催:WALL_alternative
グラフィックデザイン:桑田亜由子
会場構成:山際悠輔