古代の資料や博物館に収められたものから着想を得て、現代的な解釈による絵画を制作しています。支持体や素材の扱いにも目を向けながら、イメージと物質との関係を問い直し、軽やかで不安定な“純粋なイメージ”の存在を探っています。
今回は、そうした歴史的モチーフの作品と並行して、「果物」を主題にした絵画も出品します。保存され、継承される古物に対し、果物は日常の中にありながら、やがてかたちは失われていきます。その一過性は、記録として残る古物とは異なる時間軸を示します。
2つの異なる時間の質を持つモチーフを通して、絵画という形式のなかに、かすかな時間のずれや重なりを浮かび上がらせています。
表現を成立させるための物質的な支持体として、透明なアクリル板を用いています。クリアな支持体は薄く伸ばした絵の具に光を透過させ、湾曲した面は描かれたイメージをより軽やかにします。
澤あも愛紅_CV