• Thustt 01/2024年
Natsuki Takayama

高山夏希

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高山夏希は、山口県生まれ、東京で育ち。東京造形大学絵画専攻にて美術を学んだ。平面作品(絵画)を中心に、粒子の感触を確かめるように人間と物質の関係の再考を試み、人・動物・モノ・環境などが一体性をもった自然観を表現している。また、インスタレーション、セラミック、彫刻など様々な媒体による作品の制作、発表を行ってきた。
情報技術の発達によって記号化されたものの結びつきは強まったが、他方で記号化未満の事物への感性は弱まってしまうのではないだろうか。それによって周囲を取り巻くものに対しての実感が薄れてしまっているように私は感じている。こうした時代の中で失われてしまった様々な物体と人間の関係の回復を試みるように、近代的な世界観とは異なる、人間を含めた生物と自然が一体化した世界観を提示したい。私たち自身が、絡まり合った世界の一部として生きる事を再認識する事によって、現代の人間の生を再考できるのではないだろうかと考えている。
アクリル絵の具を流れる粒子のように物質的な状態として扱い、積層して彫刻刀やカッターの刃などを用いて削り出すなど、平面を主な媒体としながら、触覚的あるいは彫刻的ともいえる手法を用いて制作をしている。高山の色彩は、印象派の色彩論における視覚混合技法や、近代的な映像機器でみられる光の三原色による色彩とは異なる。それは自然の現象によって自ずと生じる色彩やテクスチャーに近いものである。例えば、岩肌に長い時間の経過によって構築される複雑で微細な色彩や、細かな物質的起伏がつくり出す陰影によって現れる触覚性の色彩がある。これを私は「skin-textured colour(肌理の色彩)」と呼び、自然現象としてではなく、つくり出すことを目指している。人間を含めた全ての生物のための色彩としてはたらくよう試み、新しい色彩論へと深化を続けている。
主な展覧会に、「気色の目」(奈義町現代美術館、2023 年)、「房総里山芸術祭いちはらアート×ミックス2020+「conjunctionー名詞から接続詞へー」」(白鳥保育所/千葉、2021 年)、「VOCA 展2020 現代美術の野望-新しい平面の作家たち-」(上野の森美術館、2020 年)など展示に参加している。

プロフィール画像:撮影 Minamoto Tadayuki

高山夏希_CV(JP)
Natsuki Takayama_CV(EN)