親しい関係であっても、対立を起こし、時に痛みを伴います。それは、認識や価値観の違いによる摩擦の炎症のようなものであり、相手を憶測によって捉えることの限界なのではないでしょうか。
表面的で全体的な理解に留まらず、細部に目を凝らし、相手を知ろうとする営みこそ、隔たりを埋める手段であると考えています。
近作「Calm Tone」などにおいて絵を描くということが、友達をなだめている時の心の働きに近かったように思います。光と影を何度も確かめるように線を重ねていくことで、対象を実体として捉え直す。それは、対立する要素をつなぎとめ、力の拮抗ではない、静かな均衡を探る行為に他ならないでしょう。モチーフである月や風景から、その思索を始めたいと思います。
作品画像:撮影 Ryusei Okada
澤田光琉_CV