2003年山形県生まれ。東北芸術工科大学芸術文化専攻絵画領域に所属。タトゥーの技法を用いて、自己とサブカルチャーを捉え直す絵画制作を行う。
和彫りには、信仰や信条、自己の価値観を象徴的な図柄として身体に刻み込むことで、それらを可視化し、自身と一体化させていく側面がある。作家は、身体に刻み込む行為によって信仰を可視化し、強固なものとしていく文化と、和彫り特有の象徴性を持つ図柄に着目し、サブカルチャーと自身の関係を可視化することを試みている。
幼い頃からアニメやゲームに親しんできた経験から、作家にとってコンテンツは単なる娯楽を超え、価値観や人格を形成する、より深い存在となっている。作品やキャラクターへの愛着は、安心感や精神的な拠り所を与える一方で、個人のナイーブさや停滞を浮かび上がらせるものでもある。そうした意味で、作家にとってサブカルチャーは、自身の内面を映し出す鏡になり得る。中でも美少女像は、作家にとって重要なモチーフの一つである。サブカルチャーにおける美少女とは、現実に存在する他者ではなく、自己に寄り添う理想化された存在として捉えられる。少女という属性を与えられながら、男性が抱える不安や脆さに寄り添う存在は、単なる娯楽としての消費関係に収まらず、時には崇拝にも似た関係を構築する。その特殊な精神的な関係を軸に作品を展開している。
自身が精神的な支えとしてきたサブカルチャーと、身体に信仰や信条を刻む和彫りの文化的側面を重ね合わせ、それをタトゥーの技法によって絵画として表現する。イメージを刻み込む制作スタイルを通して、キャラクターやコンテンツを消費するだけではなく、それらを必要としてきた自分自身の存在や、サブカルチャーとの関係そのものを捉え直している。
酒井大鳳_CV