風景と顔を重ねながら、記憶の中で身体の輪郭がほどけ、別の像として立ち上がる過程を描いている。
少女漫画家である母のもとで育ち、漫画的な線や顔は幼少期から日常の中にあった。それらを直接引用するのではなく、これまでの人生で触れてきたアニメやイラスト、自身の描画習慣や手癖を通して変質した線として扱っている。作品に現れる顔は、明確な人格を持つキャラクターというよりも、記憶の表面に一時的に残る身体の痕跡に近い。
一方で、北海道で親しんだ広い地平線や農地、水辺の風景、記憶に定着しきらない空間にも関心を持ち、画面上ではそうした風景が単なる背景ではなく、顔の輪郭を侵食し、身体を別のかたちへつくり直すものとして現れる。
近作《Stacking》では、漫画的な線がどこから来て、何を通過し、なぜ現在の風景の中に現れるのかを問いながら、キャラクターの身体が風景として記憶され直される過程を探っている。
英颯斗_CV