1984年生まれ、東京在住。2009年京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科建築設計学専攻修了後、石上純也や中村竜治などの建築設計事務所、ランドスケープデザイン事務所で働く。2010年代後半より風景や場所に関する作品をつくりはじめる。
近年の主な作品に、自然顔料で彩色した和紙を細く切り出し、半立体的に組み上げて風景をつくりだす「Sakutei」(2022-) や、心に浮かんだ海の風景を色で日々記録する「The Landscape of the Sea」(2021-2023) など。微かな存在感の集積による能動的な風景画の手法を模索している。
statement
現代における風景画の手法を模索したいと考えています。典型的な一点透視の風景ではなく、多視点的で時間的厚みを持った作品を作りたいと思っています。また、風景画を受動的なものとして捉えるのではなく、能動的な表現に変えて、それが共同体のアイデンティティを醸成する可能性を追求していきたいと考えています。既存の枠組や構造に捉われず、現代の風景のための素朴でポジティブなフレームワークを編み出したいと考えています。
私の作品では、小ささや儚さといった微妙な気配の表現や、その集積の手法を探求しています。情報化が進む現代において場所の認知が画一的になり、物質性が希薄になる中で、私はその微細な存在感を大切にし、それが持つ重要性を表現したいと思っています。また、これらの小さな世界が透明な眼差しを通して、私たちの大きな世界を理解する手段として機能する未来を追求していきたいと考えています。
Junko Awatani_CV