TikTokショップはいつから？主な機能や活用方法を把握しておこう

TikTokショップ、名前は聞いたことがあるけれど「いつから使えるのか？」「自分の事業にも合うのか？」と判断に迷っていませんか？

2025年6月、日本でも正式にサービスが開始される予定のTikTokショップは、ショート動画やライブ配信を通じてアプリ内で直接商品を販売できる、新しい形のEC機能です。

本記事では、TikTokショップの開始時期や主な機能、事業者として知っておきたい活用ポイントを、アパレル系D2CブランドのEC運営者視点でわかりやすく解説しています。

「まだ始まっていない今だからこそできる準備」もあわせてご紹介しますので、TikTokショップの導入を検討されている方はぜひ参考にしてください。

TikTokショップとは？

TikTokショップは、動画やライブ配信を通じて商品を販売できる「アプリ内完結型のEC機能」です。

これまでのECとは異なり、ユーザーの自然な視聴体験の中で購買へとつながる点が特徴です。

まずはTikTokショップの基本的な仕組みや役割から、順を追って確認していきましょう。

アプリ内で商品が売れる「ディスカバリーEC」

TikTokショップは、ユーザーが動画を見ながら商品を見つけ、そのまま購入できる「ディスカバリーEC」です。

視聴と購買が一体化した、これまでにないショッピング体験が特徴です。

従来のECは、「検索して買う」行動が必要でした。

一方、TikTokショップでは、ユーザーが見ているショート動画やライブ配信に商品情報が自然に差し込まれ、興味を持った瞬間に購入できるよう設計されています。

具体的には、以下のような特徴があります。

興味喚起から決済までがアプリ内で完結
商品を「探す」より「出会う」流れ
動画・ライブ視聴中のシームレスな導線

TikTokショップは単なる販売機能ではなく、ユーザーの行動を起点にした「共感ベースの購買体験」を可能にするEC手段です。

従来のECとは明確に異なる、感情とタイミングに寄り添った導線設計と言えるでしょう。

ショート動画・ライブ配信がそのまま販売導線に

TikTokショップでは、ショート動画やライブ配信がそのまま販売の導線として機能します。

視聴中のコンテンツからワンタップで商品ページに移動でき、購買までのステップが驚くほどスムーズです。

これまでのSNSとECの連携では、リンクのクリック→ブラウザ遷移→カート投入…と、いくつものステップが必要でした。

TikTokでは、この流れを極限まで短縮し「見ている瞬間」に購入を促す設計がされています。

導線のシンプルさは、以下のような点に表れています。

動画上のリンクタップで商品ページへ直接アクセス
ライブ配信中にコメント欄や画面下に商品リンクを表示
決済までアプリ内で完結（外部サイトへの遷移なし）

視聴と購買が切れ目なくつながる構造は、ユーザーにストレスを与えず、欲しい感情のピークを逃さない設計です。

情報接触から購入までのハードルを下げることで、Z世代を中心とした「直感型の消費行動」とも相性が良いと言えるでしょう。

ユーザー・販売者・インフルエンサーの役割

TikTokショップは、ユーザー・販売者・インフルエンサーがそれぞれ異なる立場で関わる、三者連携型の仕組みです。

どの視点でも活用できるため、多様なビジネスモデルに適応できるのが特徴です。

それぞれの役割は、以下のように整理できます。

ユーザー	動画やライブ配信を視聴し、商品に出会い、購入
販売者	商品をTikTok上に出品し、ショップ機能を通じて販売
インフルエンサー（クリエイター）	自身のコンテンツ内で商品を紹介し、販売者の商品を拡散

インフルエンサーが「アフィリエイト報酬」を得る仕組みもあり、単なる販促ではなく三方に利益が生まれるシステムに設計されています。

TikTokショップは一方向の販売ではなく、複数のプレイヤーが役割を持って関わる点に強みがあります。

特に販売者にとっては、自分で売るだけではなく、他者の力で広がる導線を設計できるのが魅力です。

TikTokショップの日本での開始時期

TikTokショップは、海外で先行展開されてきた人気のEC機能ですが、いよいよ日本でも正式に導入される予定です。

「いつから使えるのか？」「今何ができるのか？」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、日本での開始時期や現在の準備状況を詳しく解説していきます。

日本では2025年6月開始予定

TikTokショップは、日本では2025年6月に正式リリースされる見通しです。

同年中にはイタリアやドイツ、フランス、ブラジルでも順次展開が予定されています。

現在、日本国内のTikTokユーザーは3,300万人を超えており、18〜34歳の若年層が約62％を占めます。

1日の平均利用時間は96分と、YouTube（82分）やInstagram（54分）よりも長く、ユーザーの滞在時間の長さが注目されています。

このような背景から、TikTokは日本市場においても高いポテンシャルがあると見られており「ショート動画やライブ配信から購買へつなげる」中国型ECモデルの浸透が期待されています。

サービス開始後は、販売者が商品を出品し、動画やライブ配信と連携して販売する形式が本格的に導入される予定です。

今のうちに、TikTokの利用傾向や消費者の動きに注目しておくことで、スムーズな導入準備につながるでしょう。

参照：日本貿易振興機構（JETRO）「TikTok Shop、6月に日本でサービス開始の見通し」

日本市場での期待

TikTokショップの日本上陸は、従来のECとは異なる購買導線を持つ新たな市場として、大きな注目を集めています。

特に若年層を中心とした消費行動の変化や、SNSの浸透状況を考慮すると、多くの可能性が見込まれています。

日本市場では、TikTokショップに期待できる点は以下のとおりです。

滞在時間の長さ	平均96分／日と、他SNSを上回る利用率
Z世代への接触機会	18～34歳がユーザーの62％を占める
検索に頼らない導線	興味喚起型の購買が可能
新規接点の創出	フォロワーゼロからでも露出のチャンスあり
エンタメと購買の融合	動画視聴がそのまま購入行動に直結

上記要素は、従来のモール型ECやInstagram中心の導線とは明確に異なります。

特に商品の魅力を「コンテンツで伝える力」がある事業者にとって、TikTokショップは新たな販路として検討する価値のある選択肢です。

開始前にできる準備

TikTokショップの正式スタートに備え、事前に必要書類や情報を整えておくことで、スムーズに出店手続きが進められます。

出店は法人だけではなく、個人事業主や副業としても可能なため、準備内容をしっかり確認しておきましょう。

出店前に用意しておくべき主な情報や書類をまとめると、以下のとおりです。

共通で必要な情報

・有効な電話番号とメールアドレス

・TikTokアカウント（18歳以上／健全な状態）

・国内の住所と銀行口座

・取扱商品カテゴリーやショップ名

個人事業主の場合

・本人確認書類（運転免許証・パスポートなど）

・氏名・住所・生年月日が確認できる書類（画像／PDF）

・屋号を使用している場合は、開業届や証明書

法人の場合

・法人代表者の身分証明書

・登記簿謄本や営業許可証

・インボイス登録番号（必要に応じて）

出店にかかる初期費用や月額利用料は基本的にかかりませんが、販売手数料（海外例：5〜8％）が発生すると予想されます。

審査に通過すれば、すぐにTikTokショップを開設・運営できる環境が整っています。

今のうちから、これらの書類や情報を準備しておくことで、サービス開始後のスタートダッシュを切りやすくなるでしょう。

TikTokショップの主な機能

TikTokショップには、ショート動画やライブ配信といったTikTokならではの特性を活かした販売機能が揃っています。

従来のECとは異なり、エンタメ性と購買体験が一体化している点が大きな魅力です。

ここでは、主な4つの機能を紹介します。

ライブコマース（LIVE Shopping）
カート付きショート動画（Shoppable Video）
ショーケース（Shop Page）
ショップタブ（Shop Tab）

上記機能を理解すれば「TikTok上でどのように商品が売れるのか」の全体像がつかめます。ここからは各機能に関して詳しく見ていきましょう。

ライブコマース（LIVE Shopping）

LIVE Shoppingは、TikTokのライブ配信中に商品を紹介・販売できる機能です。

視聴中にそのまま購入できるため、リアルタイムのやり取りがそのまま売上につながります。

ライブ配信では、以下のような販売導線が用意されています。

商品リンクの表示	画面上に商品を固定表示し、すぐアクセス可能
カートボタンの設置	視聴者がワンタップでカートへ移動
配信中のプロモーション	限定クーポンやタイムセールを実施可能

視聴者は「気になった瞬間」に商品ページへ進めるため、購入意欲が高いうちに決済まで誘導できるのが大きな利点です。

上記のように、LIVE Shoppingは「ライブ＝販促の場」として活用でき、フォロワーとの関係性を深めながら売上にも直結させられる実践的な機能です。

カート付きショート動画（Shoppable Video）

Shoppable Videoは、TikTokのショート動画に商品リンクを埋め込むことで、動画から直接購入へつなげられる機能です。

視聴の流れを止めることなく、商品情報にアクセスできる設計がされています。

ユーザーは、投稿動画に表示されるカートアイコンや商品タグをタップするだけで、商品の詳細情報を確認できます。

そのまま「購入する」を選べば、アプリ内で決済まで完了します。

動画と買い物をスムーズにつなぐための仕組みは、以下のとおりです。

カートアイコン表示	動画内にショッピングアイコンを常時表示
商品情報のポップアップ	画面内で詳細確認が可能
アプリ内購入の完結	外部サイトに遷移せず決済可能

Shoppable Videoは「楽しむ」体験と「買う」導線を一体化させた設計です。

ユーザーの関心が高まった瞬間を逃さず、自然な流れで購買につなげられるのが魅力です。

ショーケース（Shop Page）

Shop Pageは、TikTokアカウントのプロフィールに「ショッピングカタログ」を表示できる機能です。

自社商品の一覧を掲載し、ブランドのミニECショップのような空間をTikTok内に構築できます。

ユーザーは、アカウントのプロフィール画面から商品一覧にアクセスし、気になった商品をチェックでき、そのまま購入手続きまで進むことができます。

ユーザーの閲覧フローは以下のような形です。

ショッピングバッグアイコンをタップ	プロフィールから商品一覧へ移動
商品一覧をスクロール	画像・価格・商品名を一覧表示
詳細ページから購入	興味を持った商品はそのまま決済へ

ブランド側は、商品画像・説明・価格などの基本情報に加え「季節のおすすめ」や「キャンペーン特集」などのコレクション機能を活用すれば、訴求力のある構成が可能です。

Shop PageはTikTok上で自社の魅力をまとめて見せる場として活用でき、プロフィール訪問者を自然に購入導線へと誘導できるのが特徴です。

ショップタブ（Shop Tab）

Shop Tabは、TikTokアプリ内で商品を検索・比較・購入できる「モール型のマーケットプレイス」です。

ユーザーはアプリを離れることなく、複数の販売者の商品を一覧で閲覧し、詳細を確認してそのまま購入まで進めます。

Shop Tab内で使える主な機能は、以下のとおりです。

商品検索・購入	TikTok内で気になる商品を探して注文可能
ショッピングタブ追加	プロフィールに商品一覧を掲載
Shop Tab広告	商品のPRに使える広告枠を表示
Product Showcase	自社商品に加えて他社商品も掲載できる紹介機能

ユーザーは、「おすすめ」や「検索結果」からShop Tabに遷移し、興味のある商品に自然とたどり着ける仕組みになっています。

一方で、販売者やインフルエンサーにとっては、TikTok内での露出・販売導線の強化に使える重要な機能です。

Shop TabはTikTok内での発見から購入を加速させる導線として、販売者・購入者の両方にとってメリットの大きい機能といえます。

TikTokショップを効果的に活用する方法

TikTokショップの機能を把握したら、次に気になるのは「どのように活用すれば成果につながるのか」などではないでしょうか。

ここでは、ショート動画やライブ配信を活用した購買促進の方法や、フォロワー・クリエイターとの連携による拡散戦略など、TikTokショップを効果的に運用するためのポイントを具体的に紹介します。

ショート動画で購買欲を引き出す

TikTokショップを効果的に活用するには、ショート動画は購買意欲を引き出す強力なツールです。

短時間で視聴者の心を動かし、購入へのアクションを促すことができます。

なぜなら、TikTokの動画が「共感」「憧れ」「驚き」などの感情を刺激しやすく、視覚と音で印象に残りやすいからです。

例えば、以下のような動画は購買につながりやすい傾向があります。

使用シーンを見せる動画
ビフォーアフター型
悩み→解決を簡潔に伝える構成

構成を意識すれば、商品そのものの魅力だけではなく「自分にも使えそう」と思わせる要素が加わり、購入率も高められるでしょう。

ショート動画は広告ではなくストーリー性のある体験として設計すれば、購買につながるコンテンツとして活用できます。

ライブ配信でリアルタイムな質疑応答を実施する

TikTokショップでは、ライブ配信を活用すれば視聴者とのリアルタイムなやり取りが可能になります。

特に、視聴者からの質問にその場で答える「質疑応答」は、購入を迷っているユーザーの背中を押す効果があります。

なぜなら、視聴者は不安や疑問が解消されることで、納得した上で購入に進みやすくなるからです。

動画だけでは伝えきれない情報を、その場でフォローできるのがライブならではの強みです。

例えば、ライブ中に以下のようなやり取りが発生すると、購買意欲を高める効果が期待できます。

サイズや素材に関する質問に即回答
使い方や効果を実演しながら説明
視聴者の反応に合わせた柔軟な提案

リアルタイムの質疑応答を通じて信頼感と納得感を与えられることが、ライブ配信の大きな魅力です。

単に情報を届けるだけではなく、購入までの不安を解消するプロセスとして活用すれば、ライブ配信の成果を高められるでしょう。

フォロワーやクリエイターとの連携で拡散力を高める

どれだけ魅力的な商品でも、見てもらえなければ購入にはつながりません。

TikTokショップでは、フォロワーやクリエイターとの連携を通じて、商品の認知拡大と拡散力の強化を図ることが大切です。

特にTikTokでは、フォロワー数が少なくても動画の内容次第でバズることがあるため、連携によって「広げる導線」を設計しておくと有利になります。

拡散力を高める主な方法は、以下のとおりです。

ファンとの共演型コンテンツ
インフルエンサーとのコラボ動画
アフィリエイト提携

上記のような手法を活用すれば、自社だけでは届かない層にも商品を届けられるようになります。TikTok内で完結する分、拡散→視聴→購入までの流れがスムーズなのも利点です。

他の人との連携は「広告に頼らない拡散導線」として非常に有効です。

クリエイターやフォロワーと一緒に盛り上げる視点を持つことで、より効果的にTikTokショップを活用できるようになるでしょう。

TikTokショップの導入をおすすめしたい人

TikTokショップの仕組みや活用方法を知る中で「自分のビジネスにも合っているかもしれない」と感じた方もいるのではないでしょうか。

ここでは、副業を始めたい個人から、販路を広げたい中小企業、さらには自身の影響力を収益化したいクリエイターまで、TikTokショップの導入に向いている人の特徴を具体的に紹介します。

副業や小規模ECを始めたい個人

TikTokショップは、副業や小規模ECを始めたい個人にも利用しやすい仕組みです。

法人だけではなく、個人事業主やフリーランスでも出店が可能となっており、初期費用や月額費用も基本的に発生しません。

必要な準備もシンプルで、以下のような情報をそろえるだけで始められます。

本人確認書類（免許証・パスポートなど）
国内の銀行口座（売上の振込先として使用）
TikTokアカウント（18歳以上／健全な状態）

例えば、自作のアクセサリーやハンドメイド雑貨を紹介する動画を投稿し、そこから注文を受けるといった活用も可能です。

フォロワーが多くなくても、動画の内容次第で自然な流入が見込めるのもTikTokならではの特長です。

個人でも手軽にチャレンジできるTikTokショップは「まずは小さく始めてみたい」方にとって、理想的な選択肢と言えるでしょう。

既存商品の販路を広げたい事業者

既に自社商品を展開している事業者にとって、TikTokショップは新たな販路を開拓する手段として有効です。

特に、Instagramや自社ECなどでの集客に限界を感じている場合に、TikTokを活用すれば、新しい層へのリーチが可能になります。

なぜなら、TikTokならではの拡散性と動画コンテンツとの親和性にあります。

広告では届きにくいZ世代や情報感度の高い層にも、自然な形で商品を届けられるからです。

TikTokショップを活用によって得られる販路拡大のメリットは、以下のような点にあります。

フォロワーに依存しない拡散力
商品紹介と販売導線が一体化
広告に頼らず新規層にアプローチ可能

例えば、自社ECで展開している商品をTikTok動画で紹介し、TikTokショップを販売チャネルとして追加すれば、認知拡大とCV獲得を同時に狙うことができます。

今ある商品をどこで売るかを見直すだけでも、売上に新たな可能性をもたらします。

既存の販売チャネルに加えてTikTokショップを導入すれば、新しい顧客層との接点をつくることができるでしょう。

影響力をマネタイズしたいインフルエンサー

フォロワーとの関係性を築いてきたインフルエンサーにとって、TikTokショップはその影響力をマネタイズできる新しい手段です。

企業案件やPR投稿が主な収益源だった方も、自ら商品を紹介・販売する導線を持つことで、より自由で継続的な収益化が可能になります。

TikTokショップでは、以下のようなマネタイズの方法があります。

自社商品の販売	自分で企画・制作した商品を出品
他社商品の紹介販売（アフィリエイト）	成果報酬型で収益化
ライブ配信での販売促進	リアルタイムに購買行動を促進