INTERVIEW

【昔の音楽にリスペクトを向けつつも、やっぱり新しいサウンドに挑戦したい】

−−−前作『BRING IT ON』から10ヶ月ぶり、今年2作目となるアルバムですが、制作はいつ頃から始まったんですか?

悟:今年の5月ぐらいからですね。ただ、実は去年の時点で、アルバムを年内にもう1枚出すことは決まっていたので、メンバーみんなで「頑張ろう」って(笑)。やっぱり嬉しいですね、こうやってたくさんリリースさせてもらえるのは。

−−−『TIME 4 LOVE』というタイトルだけあって、作品の随所から様々な愛が感じられる作品に仕上がっていますが、皆さんはこのアルバムにどんな思いを込めましたか?

勇樹:純粋なラブソングとして作った曲も勿論あるんですけど、愛ひとつを取っても色々あるじゃないですか。大切な人に対する愛はもちろん、僕の場合は、これまでやってきた夢に対する愛もそうだし、自分自身をもっと愛して音楽をやっていきたいという思いも、テーマとして織り込めたような気がしています。

大地:今まで2作のアルバムをリリースさせてもらったことで自信もついてきたし、少しずつ自分たちが出来ることの幅やクオリティも上がってきたように思うんです。だからこそ今回は、自分たちを応援してくれる人たちのためにも、もっともっと音楽に対してフォーカスを当てたいというモードの中で制作が出来て。

−−−僕がこのアルバムを聴いてまず思い浮かべたのは、「FREAKはもう向かうところ敵なしだな」と。これまで以上に歌に深みが出ただけでなく、サウンドやリリックなど、クリエイティブ面のクオリティにも遊びや奥行きが出来て、また一つFREAKは新たなフェーズに入ったのではないかと。

悟:例えば一番最初のアルバムは、僕らが90年代のR&Bに影響を受けていることをアピールしたい意図が真っ先にあったんです。それから『BRING IT ON』までの作品では、ソウルやファンク、ニュージャックスウィングなど、自分たちが好きな音楽をFREAKというフィルターを通してオマージュしていったんですけど、今回のアルバムを作るにあたって「じゃあ次はどういう曲を作ろう?」と思ったときに、僕は昔の音楽にリスペクトを向けつつも、やっぱり新しいサウンドに挑戦したいという気持ちがあって。「Crazy Summer Paradise」なんかは特に、トラック面で新しい地点を目指せた楽曲だと思っています。初めは受け入れてもらえるか心配だったんですけど、そういうスタイルをFREAKの新しいスタンダードにしたかった。それはアルバムでも同じで、新鮮なニュアンスと90年代のコーラスグループっぽい感じを、バランス良く散りばめられた気がしています。

−−−確かに、オントレンドな方面の匂いも嗅ぎ取れはしましたけど、かと言って思いっきりそっちに振り切ってもいないんですよね。そうすることも出来たであろうところを、あえて繊細にバランスを取りながら「これぞFREAKな作り」に着地させている。その塩梅が素晴らしいなと。

悟:やっぱりやるからには、中途半端な仕上がりにはしたくなかったんです。歌い方やコーラスの部分で”FREAKらしさ”がちゃんと発揮出来るのは、『BRING IT ON』までのレコーディングなどで自分たちも分かっていたので、サウンドの方は心置きなくチャレンジ出来ました。

−−−サウンドアレンジも含め、今や作品のほとんどの楽曲を皆さんでクリエイトしているわけですが、本作の音作りの面でこだわった点は?

大地:ドラム隊にはこだわりましたね。スネアやキックは時代の雰囲気が一番よく出る音なので、コンセプトに見合った表現はしつつ、上に重ねるハットやシンセは最近っぽく、っていうバランスの取り方はかなり意識していました。

−−−もうすっかりトラックメイカーとしての顔も板に付いていますよね。それがとにかく頼もしくて。

大地:ありがとうございます。最近じゃ機材も充実してきましたし、音源もたくさん買い足したので(笑)。

悟:今回、一番吉と出たように感じるのは、メンバー間で最近聴いている音楽をこまめに話し合っていたことなんです。「最近何聴いてる?」っていうのを逐一確かめ合って、それに対して「あっ、そんな新しい曲も好きなんだ」みたいにインスピレーションを受けることで、メンバーに納得してもらいやすいアレンジを提出出来るようになって。そのやり取りが、今回はかなりいい感じに働いた気がします。だから結局は、トレンドを直接的に取り入れたというよりも、あくまでも自分たちの好きなものを音楽にした結果、こういう仕上がりになったと表現するのが、今回のアルバムに関しては一番適切かもしれません。自分たちが満場一致でカッコいいと思ったトラックで臨めば、歌のニュアンスも特別なディレクションなしで、自然と良いものが生まれますしね。

【さらなる洗練を迎えた収録曲について】

−−−ではせっかくなので、収録曲を順に追っていきたいと思います。まずは、爽やかなアップナンバー「Cruisin’」から。前作の「No Half Steppin’」に負けず劣らず、序盤のアクセルとしてアルバムへの期待を一気に高めてくれる楽曲ですよね。

大地:ライブで盛り上がれるような華やかな曲を作りたいと思って作った曲です。歌詞は4人で書いたんですけど、これまでの活動を前提に、今だからこそ書ける思いがあるんじゃないかなと思って。そもそも1作目の頃から、自分たちがリアルタイムで感じていることを曲としてちゃんとアウトプットしてきているので、今回も滞りなく出来上がりました。

−−−「Cruisin’」を聴いて、今現在のFREAKの信念がより強固なものになっていることを思い知らされました。そしてそれは、2曲目の「Luh Ya」でさっそく強烈なまでに実証されているなと。言うなれば、「FREAKなんだけど、FREAKじゃない曲」。

悟:あはは(笑)。実はアルバムの制作行程で、この「Luh Ya」は一番最後に出来た曲なんです。それ以外の曲が全部出揃ったところで、(プロデューサーの)和田昌哉さんが「かなりエロくて悪い曲を入れたい」と提案してくださったので、僕らは和田さんを100%信頼して「入れましょう!」と。出来上がったのを聴いたときは僕たちも唸りましたね。「ハイ、最高です!カッコいい!」って。

−−−セクシーな曲はこれまでにもありましたが、ここまで強気なアプローチは初めてですよね?

悟:そうですね。歌詞は和田さんと僕たちで「すんごいエロいのにしよう」と話し合った上で書きました(笑)。ただ、下品になり過ぎないようには心がけましたね。日本語で嫌らしくもなく、耳障りでもないラインをみんなで探して。

−−−3曲目は「Back Again feat. YUICHIRO from DEEP」。4人組ボーカルグループ・DEEPのYUICHIROさんと共演したバラードですが、一緒に歌うことになった経緯というのは?

悟:DEEPさんがまだavexに所属していた頃に、会社でご挨拶させて頂いたのがすべての始まりで。それからは時々ライブを観させて頂いたり、一緒に食事をさせて頂いたりする中で、「一緒に歌いたいね」という話をしたこともありました。具体的に話が本格化したのは、僕らが九州全県ツアーをした頃ですね。初日が長崎での公演だったのですが、たまたまそのタイミングでYUICHIROさんも長崎にいて、僕らのライブにも遊びに来てくださったんです。で、最終的にYUICHIROさんには飛び入りで出演して頂き、一緒にDEEPさんの曲を歌ったんですけど、一緒に歌を重ねた時の雰囲気が凄く良かったのを僕らもYUICHIROさんも感じ取って。それがきっかけで、コラボレーションの話がトントン拍子で進み始めました。

−−−皆さん自身でソングライティングをした楽曲が多い中、この楽曲に関してはFREAKのプロデューサーである和田昌哉さんが手がけています。敬愛する方とのコラボなら、「自分たちが書きたい!」とは思わなかったですか?

悟:もともと和田さんが、DEEPさんの「ラスト・グッバイ」などに関わっていたこともあって、「今回は和田さんの作る曲で一緒に歌いたい」という意思が、僕たちの中にもYUICHIROさんの中にもあったんです。YUICHIROさんが、僕たちの「Cry For Me」という曲(和田昌哉作曲『BRING IT ON』収録)を気に入ってくださっていたこともあって、尚さらその方がいいなって。

−−−歌ってみての感想は?

悟:まず、歌の中で一人称を「僕」と歌っているのはFREAK史上初めてのことなので、初めて歌詞を見たときは衝撃を受けました(笑)。今までは「俺」で統一していたのですが、良いタイミングだったと思います。

勇樹:パートによっては、YUICHIROさんのキーに合わせてメロディが作られているんですけど、YUICHIROさんのキーは高いので、レコーディングのときは少し苦労しました(笑)。でもそれが結果的に、自分の内から出る切なさや熱さをうまく引き出してくれたような気がします。あと、サビはもちろん、Aメロの部分も細かいニュアンスや質にこだわりながら歌いました。

元樹:初めてデモを聴いたとき、“歌を志した人がカラオケで歌いたくなる曲だな”と思いました。

勇樹:確かに僕も「良い意味での王道だな」と感じました。ミュージックビデオの撮り方に関しても、リップシンクをちゃんと見せるっていうシンプルな作りなので。意外に僕たち、そういうド直球なことをして来なかったので新鮮でした(笑)。

−−−4曲目は、「ハウステンボス2017 大胡蝶蘭展」のCMソングに起用されている「My Only One」。「Back Again」とは王道という面こそ共通しているものの、こちらは穏やかなムード溢れるウェディング・ソングに仕上がっています。

悟:最初に和田さんからデモが送られてきた時に、すごくハッピーな空気を感じ取った覚えがあります。90年代のマライア・キャリーが歌っていそうなイメージもあって、素直に「こういう曲を収録したい」とその時思いました。で、同じようにデモを聴いた大地がウェディング・ソングを想定して歌詞を書いてくれて。

大地:すごく良い曲だし、歌詞を書きたいなと思って。個人的な事情なのですが、僕の兄が今年結婚することになったので、このタイミングでウェディングに関する曲が書けたらいいなと思ったんです。 ただ、実際の経験が無いことなんで、最終的には自分のアイデアをモチーフに作詞家さんと共作しました。

−−−今年の夏にリリースされたトロピカルな配信シングル「Crazy Summer Paradise」は5曲目に。先ほども話に出ましたが、オントレンドな音色を使用している点で、他のFREAKの楽曲とは一線を画しているように感じます。

悟:使っている音色こそトロピカル・ハウスのそれを意識してはいるんですけど、サウンド的にはあくまでも”ハウス”ではない、というところがミソになっています。むしろ根底にあるのは、ウェッサイのヒップホップなど90年代に流行った音なんですけど、2つの要素を混ぜたら面白いんじゃないかということで。メンバーの間ではこの曲が出来上がった当初、「思いのほかFREAKっぽくなったな」と思っていたんですけど、やっぱりリスナーの人からは「新しいFREAKだ」という声が多くて。それはそれで、今までとは違った自分たちが発揮出来たということなので嬉しかったですね。

元樹:悟がラップをして、サビは4人でコーラスをするスタイルの曲なんですけど、今の時代、コーラスもしてラップもするグループはなかなかいないと思うし、そういう意味で「これぞFREAKだ」というのが自分たちの中でも分かりやすく見えた曲ですね。

悟:他の楽曲にも言えることなんですけど、今回はいつにも増して良いフェイクが録れたと思っています。ですので是非、そのあたりにも注目して聴いてもらいたいです。

【どんな苦しい状況でも一歩を踏み出していきたい】

−−−アルバムも後半戦に差し掛かったところで、皆さんの個性がより一層加速を始めます。その象徴とも言えるのが、陽気なディスコ・チューン「Honojidaze Tonight」。あちこちに遊び心が散りばめられていますし、さぞかし楽しみながら制作されたんじゃないですか?

大地:そうですね。ちょうどアッパーな曲を作りたい時期で、「ディスコとかいいんじゃない?」っていう話から作ることになりました。悟:ずっとディスコディスコ言ってたもんね(笑)。

大地:うん(笑)。それも、ライブでアガれるディスコですね。たとえばロビン・シックとか、最近だとニーヨの新曲とか、ああいう新しいタイプの曲を作りたいなって。

−−−FREAK史上もっともナンパでユーモラスな歌詞にも要注目ですよね、この曲。

勇樹:みんなでクラブへ遊びに行ったときに、めちゃくちゃ酔っ払って男にくっついて楽しんでいる女の子と、バーカウンターで「私たちは男に興味なんてありませんよ」って顔をしている女の子の2タイプがいたとするじゃないですか。でも後者の女の子も、本当はワイワイ楽しく遊びたいはずなんですよね。僕らとしては、そうやって気取っている女の子よりも、素直に自分の欲望のままに遊んでいる女の子の方が素敵だと思うよっていうメッセージを、男の目線で歌いたかったんです。

悟:だからストーリー的にも、そうやって盛り上がっている女の子に男の方がアプローチを仕掛けに行くんですけど、最終的にその子はどっかに行っちゃうっていう(笑)。

勇樹:悲しい男の話ですね(笑)。

−−−「ホの字」という超クラシックなワードも飛び出しますが。

悟:女の子がこっちを見ている状況を、当初は<俺に惚れてるぜ>みたいに書いていたんですけど、ディスコと言ったら古き良き時代の音楽だし、ならばクラシックな言葉を使いたいということで「ホの字」を持ってきたんです。そのあと仮歌で<ホの字だぜ Tonight>って歌ってみたら、これが思いのほかめちゃくちゃハマって(笑)。

−−−ファルセットだけで展開するサビも、この曲の特筆すべき特徴ですよね。

大地:それこそ、オマージュ的な感じでアース・ウィンド・アンド・ファイアーとか、ディスコで流れているような曲を連想していったら、自然とサビを裏声で歌う話になって。

勇樹:裏声だけでサビを歌うっていう経験が今までになかったので、そういう意味でも楽しくレコーディング出来ました。

−−−続いて、オーセンティックなJ-R&Bアプローチが心地よい秀逸ミディアム「You & I」。メロディアスな部分と、R&B特有の甘美な世界観が濃密に溶け合った一曲ですね。

悟:多分、R&Bをそんなに聴かない人にとっては、すごくキャッチーに聞こえる曲だと思います。ただ、“分かる人”には絶対刺さるんですよね。そういうポイントを絶妙なさじ加減で取り入れた曲なので、作った大地にはちょっとジェラシー感じてます(笑)。

大地:音色で言うと、スネアとかキックにはかなりこだわりました。あとこの曲は、「キットカット ショコラトリー」の企画に参加した時に作った曲なので、「分け合う」とか「甘い」とか、そういうフレージングをいかに織り交ぜて、チョコレートと自分の大切な時間とをリンクさせられるか、というところを課題にして制作しました。

−−−8曲目の「We gon’ get it on」は、ねっとりした重厚なコーラスが絡むスロウジャム。ボーカルグループとしての本領がそこかしこで爆発しています。

勇樹:前作に収録した「Butterfly」しかり、エロい曲が好きでよく作るんですよ、僕。やっぱりR&Bはセクシーな音楽だと思っているので、自分が思う色っぽさと、男のバカな性分もちゃんと取り入れたいなと思いながら、悟と歌詞を作っていきました。

−−−どこを取っても、FREAKの「趣味嗜好」が味わえる楽曲ですよね。同じ方向性でもって音楽を聴いている人にとってはたまらないんじゃないかな。

悟:ありがとうございます。やっぱり、こういう曲も入れておかないと気が済まないというか。俺、この曲が出来た時に「ヤバい、この曲よりカッコいい曲、もう作れないかも」って初めて思ったんです。それぐらい自信をもってお届け出来る曲なんですけど、この曲を超えるR&Bを今後果たして作れるのかな?という意味では、絶望もそれなりにありますよね(笑)。

−−−軽快なリズムを刻むポップなダンス・トラック「Girl」は、一目惚れがテーマ。

勇樹:僕が作ったメロディに歌を乗せたボイスメモを大地くんにまず送って、アレンジされたものが返ってきてから、再度僕と悟が一緒に歌詞をつけて完成させました。もともと僕がこういう曲が歌いたくて、それを大地くんにリクエストする形で実現することが出来ました。

悟:なんか今回、愛っていうよりは「恋」な曲が多いよね。

勇樹:そうだね。この曲のトラックの雰囲気もキラキラしているので、歌詞の内容も一目惚れ的な内容でいこうと。

−−−そのトラックはと言うと、どことなくエモーションズを彷彿とさせますね。大地くんの味付けが効いています。

大地:ありがとうございます!この曲に関しては、コーラスもかなり女性的なんです。こういう可愛い感じのコーラスを男性アーティストがやるのはあまり前例がないと思うし、かなり面白いんじゃないかなと。

−−−そして、勇壮な決意表明曲「FIGHTER」がここにきて登場します。毎度のことながら、雄々しさ全開で等身大の気持ちを歌い上げる様に思わずグッと来ました。

勇樹:かなりパーソナルな内容の歌詞に仕上がりましたからね。結成してからの約5年間、FREAKとして活動してきましたが、やってもやっても上手くいかないことの方が大半で、道を諦めかけたこともあるんです。でも、これからももっと音楽を続けたい、ずっと歌っていきたいという気持ちを持って、どんな苦しい状況でも一歩を踏み出していきたいという覚悟を歌おうと、この結成5周年というタイミングを前に決意したんです。

元樹:勇樹はこの歌詞を書いている時、ちょうど喉を壊して休んでいる時期だったんです。だからこそ、歌詞にもより迫力や生々しさが出たんじゃないかなって。

勇樹:うん。歌えなくなって辛かったんですけど、これはきっと「自分が新たな一歩を踏み出せる良いチャンス」だと受け止めたし、その気持ちを歌詞にしっかりと込めようと思いました。みんなの歌もいつも以上に熱くて、ちゃんと全員で信念がこもった歌が歌えたなという実感があります。

−−−おっしゃる通り、ボーカルからみなぎるエネルギーの大きさに圧倒されました。FREAKの事を信じていればいるほど、ズシリと心に残る名曲だと思います。

元樹:個人的にこの曲は、「誓いの歌」に通じるものを感じて。そのときのレコーディングも自然とパッションが内から湧き出て、気づいたら何を言われずとも力強く歌っていたんです。歌詞の内容も今の自分の状況と重なるし、曲に導かれるように感情を込めることが出来ました。

−−−11曲目は、福岡アンセムとして話題を呼んだ「Fukuoka Stand Up」。もともとはNatural Radio StationとLinQとのコラボレーション・ナンバーでしたが、今回はFREAK単体でのバージョンで新たに収録されています。

勇樹:ライブで毎回のように客演のアーティストさんをお呼びするわけにはいかないじゃないですか。出来上がった当時からすごくカッコいい曲だと思っていたこともあって、実はコラボレーションをしたときから「自分たちだけだけ完結させられるバージョンがあってもいいんじゃないか?」とは考えていたんです。

悟:タイトル的にも、自分たちのテーマソングとして絶対に機能する曲だと思ったので、あえて自分たちだけでやるっていうのはそれはそれで実になるなと。

−−−今回のFREAKバージョンにはどのような工夫を行ったんですか?

大地:レンジ面で言うと、より一層ニュージャックスウィングにしました(笑)。前回は比較的キャッチー寄りに作った部分もあったんですけど、FREAKがやるならもっとニュージャックスウィング全開でいいんじゃないかなと。

勇樹:あとは、「福岡からアガっていくぞ!」っていう気持ちの表明も強く込めましたね。悟のラップパートは特に好きです。僕たちが福岡で活動しているグループだということをまだまだ知らない人も多いですし、ラップの歌詞に<そいつは無理だ言う輩に たてるFinger真ん中>とあるように、「何を言われても俺らはやっていくぞ、だからついて来い!」っていう気合も色濃くなっているので、この曲をきっかけに僕たちの闘志を感じてもらえたら嬉しいです。

【趣向を凝らしたボーナストラックにも要注目】

−−−今回のアルバムは計3形態で発売されるわけですが、その内CDオンリーのタイプAとタイプBにはそれぞれ、ボーナストラックが収録されています。中でも「Phone Call」と「記憶」のニューバージョンは、何とアカペラ!

元樹:コーラスグループですが、今まではどちらかと言うとボーカルグループとしての装いが強かったんですよね。だから今回はあえて、コーラスグループらしいことに挑戦したいなと。

勇樹:いや〜、でも苦労しましたね。特にコーラスアレンジは、悟と大地が練りに練りを重ねてくれて。

悟:僕が担当した「Phone Call」は、声でボーカルを組み立てるアレンジにチャレンジしてみました。ライブで披露することよりも、人間の声で和音とリズムを組み立てるところに意識を集中させて。結果、なかなか面白いコーラスアレンジに仕上がったのではないかなと。

大地:「記憶」はその真逆で、バンド編成的な視点で組み立てていきました。僕、基本的に“重ねたがり”なので、ドラムがあって、ベースがあって…っていうバンドの基本的な編成をボーカルに置き換えて、4声でどれだけ曲を成立させられるかという点にこだわってみました。たとえばコード感は、ベースの音がこの位置にあったら、コーラスはこの音に位置するときが一番音圧が高い、みたいなところを結構意識して。4人では歌っているけど、音の厚みはそれ以上のものを実現させたかったんです。

悟:それぞれの曲のコーラスアレンジにバリエーションを付けることで個性が付いたし、CDに収録される価値も高まったと思うんですよね。ということで要するに…どちらのCDもゲットしてほしいです!(笑)

−−−そして、新たにリミックスされた楽曲も2曲。福岡のディスコ・バンドであるCOLTECOがフロアライクな風を吹かせた「Nasty Girl」もさることながら、悟くんが手がけた「Do You Wanna」のクオリティも負けず劣らず凄い!原曲とは全くの別モノとして楽しめました。

悟:前々からリミックスをやってみたかったんです。でももし自分がやることになったら、FREAKがオリジナル曲で絶対やらないであろうトラックで世に出したいという野望がありまして(笑)。ライブでの盛り上がりなどを全く考えず、メンバーの歌で好きにやらせてもらった感じですね。

大地:良い意味で「ひどいな」って思いましたね(笑)。ラップのパートとかが上手くイジられていて、「うわ〜凄いことになってる!」って。

−−−こうして収録曲を振り返ってみて、アルバムの仕上がりをあらためてどう感じますか?

勇樹:濃いアルバムになりましたね。バリエーションも効いているし、今までよりもより深く出来た感じがありますね。そして、今までで一番FREAKらしいなと。過去のものをさらにアップデート出来て、満足の行く出来になりました。

【結成5周年の決意と変化】

−−−2017年の12月でFREAK結成から5年が経過しますが、皆さんそれぞれの今の思いは?

勇樹:「まだ5年か〜」というのが率直な感想です。それぐらいあっという間で、でもとても濃い5年間でした。最近になってようやく、FREAKの中で自分が何をすべきか分かってきた気がするんですよ。だからこれからは、さらに新しい景色が見られるんじゃないかってワクワクしています。

悟:結成してから1年ぐらい経った頃よりも今の方が濃いよね。それはやっぱり、それぞれにやりたいことが増えてきたっていうのも大きいと思うんです。「こういう曲作りたい」っていう意見も、今となってはそれぞれが持っていますし。

元樹:自分も「まだ5年か」という印象ですね。勇樹も言った通り、色んな持ち場のスペシャリストが集まったグループだなと初めから思っていたし、最近ではその色がより強くなったなと。

−−−それはやはり、ボーカル面においても?

勇樹:そうですね。今じゃ恥ずかしくて1作目なんてまともに聴けないです(笑)。でもそれぐらい、毎回のように自分たちの成長は実感しています。自分たちでもこんなに身に染みているので、多分お客さんはもっとダイレクトに感じているんじゃないかな。

−−−皆さんの成長には、主に何が作用していると考えますか?

勇樹:色んな音楽に触れる中で、「あ、こういうことが大事なんだ」っていうのが分かってきたんですよね、きっと。あとは経験を重ねる中で、「自分はこういう風に歌うべきだ」というのが個性として表れてきたことも大きいですよね。

−−−では、皆さん自身のキャラクターは、この5年間で何か変化しましたか?まずは大地君の“アップデートぶり“について、ほかの皆さんが思うところを聞かせてください。

勇樹:大地はもともと、すごく真面目なイメージがあったんですけど、日が経つにつれて意外と黒い部分もあるんだなって(笑)。前はあんまり自分の意見を言わないタイプの人間だったので、その点ではかなり変わったんじゃないかな。

大地:自分ではちゃんとしているつもりなんですけどね〜。ただ、良いことは良い、悪いことは悪い、というのを正直に言うようにはなったかもしれません(笑)。

元樹:まあでも、俺らが大地を汚してしまった部分はあるよね(笑)。

−−−きっと、本来は職人肌なんでしょうね。そういう人は、自分の主張を芸術に昇華する一方で、あまり直接的には意見を言わないことが多いように思います。

勇樹:あ、確かにそれはありますね。

−−−では、元樹君はどうですか?

大地:元樹はとにかく丸くなったよね。昔は尖りまくってたので。自分の歌の調子が良くないからってキレたりして、それで僕が怒るみたいなことはありました(笑)。

勇樹:めちゃくちゃ硬派だし頑固なので、毎回気合が入っちゃうんですよ。それが段々、周りも見えるようになってきたと思うし。そもそも、昔はライブでもMCで一切喋らなかったんですよ。今は一番喋ってるのに(笑)。

元樹:今のファンの人は、自分が喋らなかったことを知らない人の方が多い気がします。知ったら多分びっくりするんじゃないかな(笑)。

−−−元樹くんの弟・勇樹くんについても聞かせてください。

元樹:勇樹は…変わってないですね(笑)。中2から何も。

(一同爆笑)

大地:でも、本当に変わってないかもしれないです。何か変わったっけ?

悟:んー…優しい部分は優しいし、短気なところは短気だし…もともとそんな感じだよね?

勇樹:ですね、自分でも変わってないと思います(笑)。

悟:成長していないと思っているわけではないです!ただ、パーソナルな部分にあまり変化は感じないかなって。

大地:もともと真面目なんですよ。しっかりしているし。

−−−お二人は双子ですけど、かなり性格に違いがあるようですね。

元樹:通っていた学校が違うので、つるんでいる友達とかも全然違うんですよ。だから性格も、少しずつ変わっていったんじゃないかなと。

勇樹:逆に、小学校とか中学校の頃まではほとんど一緒でしたね、何もかも(笑)。

−−−ではお待たせしました、リーダー・悟君についてはどうでしょう?

元樹:悟は…ちょっと真面目になったかな?懐が広くなった気がする。

勇樹:グループのことをより考えてくれるようになりました(笑)。こう見えて、悟も割と暴走するタイプなんで。まあ、そういう部分があるから頼り甲斐があるんですけどね。

大地:肝が据わっている、というか。

悟:まあ、俺の心が丸くなった分、有難いことにみんなの心も広くなってるので(笑)。みんな同い年ということもあって何をするにしてもスムーズだし、いつも助かっています。

−−−では、メンバー間で喧嘩もあまり起きないんですか?

大地:兄弟喧嘩くらいかな?

勇樹:そうですね、僕と元樹で。

元樹:あ、でも勇樹と悟はよくぶつかるよね。

悟:最近減りましたけどね。でも俺らから言わせたら、大地と元樹も実はやり合ってない?

元樹:いや、やり合ってるっていうか、俺が一方的に大地から怒られてるだけだよ(笑)。

−−−歌の調子の件でね(笑)。

元樹:そうです(笑)。でも、最終的には俺がちゃんと謝ってるよ?俺、自分に非があると思ったらちゃんと謝るタイプだから(笑)。

勇樹:まあ、色々ありますが、一緒に曲を作ったりしていると、やっぱりみんなついつい熱くはなっちゃいますよね(笑)。だから喧嘩という喧嘩はあまりないかもしれないです。

【熱狂的なライブで広がるFREAKの未来】

−−−前々からお伝えしたいことがあったのですが、FREAKというグループは今や、歌うことのみならずクリエイターとしての顔や、ステージを盛り上げるエンターテイナーとしての振る舞い、さらには黄色い声援を浴びるアイドル的なポジションまで、得意分野を着実に広げつつあるじゃないですか。先ほど申し上げた「向かうところ敵なし」の根拠でもあるのですが、その威勢の良さに、皆さんが唯一無二のボーカルグループである所以を感じ取らずにはいられないんです。

大地:ありがとうございます。確かにこの5年で、色んなことが出来るようにはなりました。でもそれって、自分たちの根本に歌があるってことを信じられているからだと思うんです。努力をするということはどの局面でも変わらないので、それに伴って色んな見方をしてもらえるのは嬉しいですし、僕としてはFREAKに対して、どんな風に食いついてもらっても構わないと思っています。取っ掛かりは多いほうがいいと思いますし。仮に音楽とは関係ない理由で「好き」と言って頂けたとしても、それは本当に有難いことです。

勇樹:そういう風に思えるようになったのは多分、まだファンがあまりいない時から、色んな場所で「こういう風にしたら盛り上がるんじゃないか」と色々考えてきたからこその結果だと思っていて。これから先、皆さんから見えるFREAKのイメージはもっと多彩なものになると思うんですけど、外からの刺激が増えていった方が、今後の自分たちにとっても意義があると思っています。

−−−12月からは、結成5周年を記念したツアー福岡、東京、沖縄の3カ所で開催されます。ズバリ、どんなライブにしたいですか?

悟:アルバム同様、ライブでも毎回新しいものをクリエイトしていきたいと思っているので、今回も前回のツアーを超えられるよう、音楽の演出などにも気を配りながら良いステージを作りたいです。コーラスグループが当たり前のように歌を歌い、そしてどうエンターテインメントするのか、来てくれるお客さんにはじっくりと楽しんでもらいたいですね。

元樹:しかも今回は、東京と沖縄で初めてワンマンライブをやらせてもらうので、自分たちのことを初めて観に来る方にも、FREAKがどういうグループなのかをしっかり伝えたいし、よりパワーアップした歌とコーラスを届けられるよう準備していきたいです。

−−−では、どんな規模でも構わないので、「さらにその先、自分たちはこういうライブがしたい!」というようなビジョンはありますか?

勇樹:今僕たちは福岡に住んでいるんですけど、福岡在住のままヤフオクドームでライブがしたい、とは常々話しています。

悟:その時にやるライブはきっと、ステージセットや映像が凄くて、多分俺、下からビューンって飛び出てきます(笑)。それでお客さんが「ワー」となって、中盤までめちゃくちゃ盛り上げつつ、最後の方にはみんなで大爆笑するっていうのが夢ですね。

−−−大爆笑!?(笑)

悟:はい(笑)。大爆笑した後には、100人ぐらいのダンサーと一緒にみんなでジャンプして、みんなで泣く。泣くっていうのは、自分たちの核となる曲を歌って、ファンのみんなに泣いてもらうんです(笑)。そんなライブを、いつかドームでやりたいです。

−−−喜怒哀楽が豊かなライブ…確かにFREAKらしいですね。

元樹:あと、これからの目標としては、僕たちがいる福岡で“シーン”を作りたいです。自分たちがここで力をつけて、いつか「福岡はR&Bがマジでアツい!」と思ってもらえるようなイベントを作りたいんです。土壌を築くというか。それでこそ、ここで歌っていく意味があると思っています。

取材・文:白原ケンイチ
https://twitter.com/JBS_KEN1

もどる