このオーケストラは今、何かを成し遂げようとしている
イギリス的に重厚で、かつ透明な金管楽器の音色、ちょっと湿り気を帯びた弦楽器の音色、そして華麗な木管楽器群。
これらがペトレンコのタクトのもとで活き活きと音楽を奏でる。
イギリスの新聞が伝えるように、確かにこのオーケストラは今、何かを成し遂げようとしている。
日本のふたりの若武者ソリストとの素晴らしい組み合せによる来日公演が、聴衆の心をつかむことは間違いないだろう。
ペトレンコ旋風、再び
音楽の世界では、このところペトレンコ旋風が吹き荒れている。
というのは、世代的にも同じで、国籍的にもロシアということで共通する部分が多い、二人のペトレンコが活躍を始めて、それぞれにとても高い評価を獲得しているからである。
一人が、1976年サンクトペテルブルクに生まれたヴァシリー・ペトレンコである。2002年スペインで行われた指揮者コンクールに優勝、2005年にはイギリスのロイヤル・リヴァプール・フィルの首席指揮者に迎えらえている。以来、ペトレンコの躍進劇は留まることを知らず、2015年にはついに初来日公演を行い、空前とも言える成功を収めたのである。
もう一人のペトレンコは、1972年シベリアに生まれ18歳の時からウィーンに学んだ、キリル・ペトレンコである。
2018年にはベルリン・フィルの音楽監督に就任することとなっており、期待度の高いマエストロである。
二人の間に血縁関係はないということだが、何れもロシアからの才能であるし、世代的にも同じであり、また音楽的にも極めてドラマティックな演奏を聴かせるという点でも似通っている。ここで扱うのはヴァシリー・ペトレンコであるが、今回待望のロイヤル・リヴァプール・フイルとの二度目の来日公演が実施されることになった。曲は、ショスタコーヴィチとチャイコフスキーの交響曲がメインである。もちろん、辻井伸行のソロも聴かれるし、またイギリス音楽も含まれることになっている。
3年前の来日公演を上回る興奮に我を忘れる一夜となることであろう。