01:accel.

何かが始まるワクワク感をあおるようなデジタルなインストゥメンタル。
そして、そのサウンドにのったメンバーの声が、さらに聴く者の心のアクセルを踏みこませ、気分を高揚させる。
続く『PARADISE』のイントロとの相性も抜群なだけに、このオープニングチューンを聴いているうちに、誰もが自然に『Buzz Communication』の世界に引き込まれてしまうはずだ。

02:PARADISE

西島が出演したイト―ヨーカドー「ボディヒーター」のCMソングであり、オリコンシングルウィークリ―チャート自己最高初動枚数を記録した26thシングル。
スピード感にあふれたサウンドと日高のパワフルなラップ、そしてメンバーののびやかで明るいボーカルが見事にマッチ。リスナーを音楽というパラダイスへ招待してくれる。
この曲が表現している"パラダイス"は、決して夢物語の"楽園"ではなく、自分の心の中にある大切なものや、自分を支えてくれるもののこと。普段は見過ごしがちなそういう存在に気づかせて くれる曲になっており、このアルバムを手に取ったリスナーにとっては、そのひとつがAAAであることは間違いないだろう。

03:負けない心

AAA流応援歌。大空へ飛び立とうとしているような導入部、力強い歌声、そして"生きることがアンサー"と聴く者の心に訴えかける日高のラップ。全てがリスナーに勇気を与えてくれるに違いない。
しかも、この曲の場合、メインは女性ボーカル。それだけに宇野と伊藤の歌声もいつも以上に意志を感じるパワフルなものになっているのが印象的。
おそらく歌っている本人たち自身、この曲に喝を入れられているのではないだろうか。
当然、歌詞にもグッとくる言葉、うなずける言葉が盛りだくさん。その中に"キボウはヒカリ、ゼツボウは糧"という部分があるが、きっとそう考えて試練を乗り越えて行く"負けない心"こそが、明るい未来へ繋がるのだろう。

04:逢いたい理由

AAAと小室哲哉との出会いの曲。この曲なしには、今回のアルバムは成り立たなかったと言っても過言ではないはずだ。
これまでどちらかというとポジティブなメッセージソングが多かったAAAだが、この曲は恋する気持ちをストレートに描いたラブソング。
恋ゆえに人は強くなり、恋ゆえに人は臆病になる。そんな恋愛がもたらす心の変化を表現したナンバーをAAAに書くことで、彼らの少し大人になった一面を引き出すことに成功した。
せつなさと愛しさがないまぜになったボーカルはもちろん、日高のラップもエモーショナル。想いを伝えるメールを打っては消すという情景描写もとてもリアルなだけに、多くのリスナーの共感を呼ぶはずだ。

05:one more tomorrow

西島、浦田、日高、末吉、與の男チームの楽曲。
だが、男子のみの曲とはいえ、アグレッシブさやエネルギッシュな面を出すのではなく、どこか"和"の雰囲気のあるサウンドをバックに、むしろ男の弱さを表現しているところが秀逸だ。
夢を追いかけ、必死に生きる不器用な男。
肩肘を張り、プライドを守って毎日を過ごしていても、心の奥には愛する人にすがりたい気持ちがある。普段は決して表には出そうとしないが、実際は全ての男性に存在するであろう脆さや弱さ。
そこにシンパシーを感じるリスナーは、男性はもちろん、女性にもきっとたくさんいるだろう。想いを込めて歌い上げる5人のボーカルも聴き応え抜群。夢を追いかけるうえで、愛する人の存在がどれほど重要なのかが、しみじみと伝わってくる1曲になっている。

06:Endless Fighters

どこまでも広がっていくような爽快感と明るさが印象的な耳に心地いいナンバー。
人生には常に壁があり、戦いが待ち受けている。
だが、それは決して誰かと争うことではなく、戦う相手は自分自身。
自らの道や夢をつかむために自分の弱さやあきらめがちな心と戦わなければならないのだ。
そして、そう全ての人が考えたとき、世界はひとつにつながっていく。
そんな壮大なメッセージが込められた楽曲になっている。
実は歌詞の意味はとても深いが、『ポケモンスマッシュ!』のエンディングテーマだったこともあり、小さな子供でも聴きやすい仕上がりになっており、AAAの歌いっぷりも非常に軽やかだ。

07:STEP

ポップでメロディアスなサウンドの中に、さり気なくポジティブなメッセージが詰め込まれているナンバー。
どんな明日が待ち受けているかは誰にもわからない。
けれど、それを恐れずに一歩を踏み出すことこそが、未来の扉を開く。
だから、自分を信じて新しいステップを刻もうと爽やかに呼びかけている。
AAAのボーカルも芯の部分にはエネルギーが満ちているのだが、強く訴えかけているというよりは、優しく温か。
これからの卒業シーズン、今とは違う場所へ旅立っていく者の背中をそっと押してくれる曲になるはずだ。

08:Digest

少しダークな色合いのスリリングでドラマチックなナンバー。
複雑に上下するA、Bメロと非常にキャッチ―なサビのコントラストが実に鮮やかだ。
笑顔も涙も傷跡も孤独も、全てが自分の歴史であり、人生。
だとしたら、それら何もかもを飲みこんで、自分が生きて行くための力にしてしまおうと歌っている。
以前のAAAだったら、きっともっとガムシャラに未来へ向かっていただろうが、今の彼らは経験値を踏み、未来への道が曲がりくねっていることを実感として知ってしまった。
だが、だからこそ生きていればどんなことでも乗り越えられると歌う声に説得力が増したのだろう。

09:Love@1st Sight

『Digest』からほとんどインターバルを置かずに始まる、AAAには珍しい刹那の恋の歌。
独特のメロディと転調を含む複雑な構成が、この曲の持つ危険な香りをいっそう強めている。
ボーカルも西島、末吉、伊藤の3人が担当しており、とても新鮮。
西島と末吉がフェイクでかけあって気持ちの盛り上がりを表現しているのに対して、伊藤は意外にクール。
そのスタンスの違いが"これもReal"と語る男性と"RealじゃなくFictionね"と言ってしまえる女性との温度差を表していて面白い。
1曲の中で、こうやって男女の心理の違いを表現できるのも、混合グループであるAAAならではの持ち味なのだ。

10:Dream After Dream~夢から醒めた夢~

『逢いたい理由』とのダブルA面だった楽曲。
恋を失った女性の内面を的確に表現した作品だけに、『逢いたい理由』と同様に共感する人が多いに違いない。
大好きだった人の気持ちがいつの間にか離れて行ってしまったときは、誰もが悲しいし悔しい。
けれど、だからといってそれまでの経験がまったくムダになるということはないし、ゼロになるわけでもない。
むしろ、その痛みや悔しさをパワーに変え、次の夢へ踏み出すことこそが大切なのだと、この曲を聴いていると思えるようになるだろう。
そんなちょっと強がりながらも前を向いて行く女性像に、パンチの効いた宇野と伊藤のボーカルがピッタリ合っている。

11:ダイジナコト

生きている中で誰もが出会う自分の心の中の闇にフォーカスしたナンバー。
どんな状況にあっても前を向くようなメッセージを発してきたAAAにとっては意外ともいえる楽曲だが、むしろそれによって人としてのリアリティが増したと言えるだろう。
だが、一見ネガティブな印象を感じるこの楽曲だが、その芯にあるものは、やはり"希望"であり"未来"。
今は困難な場面に遭遇していようとも、自分自身が確固たる志を持ち、それが実は何よりも大事なものなのだとわかっていれば、いつか光が射す日は訪れると歌っているからだ。
今、目の前にある悩みや苦しみは、自分が前に進むために必要なものと捉え、さらに先にある大事なことを見据えて生きるべき。
そんな想いが、辛さを素直に吐露したようなA、Bメロから、それでもあきらめない強い気持ちを表現した広がりのあるサビへと展開する歌声に見事に表現されている。
AAAの表現の幅を広げたと共に、聴く者それぞれに自分にとって本当に"ダイジナコト"は何なのかを問いかけることにもなっている楽曲。

12:Day by day

アコ―スティックなサウンドが耳に優しい、おだやなか聴き心地のナンバー。
実際はすごくハッピーなわけでもなければ、エネルギーに満ちているわけでもないのだが、マイナスなだけではないひとすじの光のようなものを感じる仕上がりになっているので、聴いていると気持ちがスーッと落ち着いてくるのだ。
7人のフワッとした手ざわりの歌声も、この曲の持ち味にフィット。
神経を張り詰めるばかりではなく、ときには肩の力を抜いて過ごすことも大切。
そう、肩をポンポンと叩かれて言われているような気分になる。
テンポもメロディもわかりやすいので、ライブではオ―ディエンスも一緒に歌えそう。
そして、笑顔でこの曲を歌うことで、心の重荷も少し軽くなり、まだまだ自分は大丈夫だと思える。
そんな1曲になる気がする。