開催まで1週間を切ったMEET YOUR ART FESTIVAL2025🎪
ART EXHIBITION「Ahead of the Rediscovery Stream」の”アートの見どころ”をお届けします。
Chim↑Pom from Smappa!Group×小室哲哉による“生命の誕生”をめぐるパフォーマンス作品、10m大型LEDビジョンで展開する雷と都市の関係を描くMANTLEの新作《simulation #7 -The Thunderbolt Odyssey Part II. -》、手塚愛子による新作も。折元立身、和泉侃ほか多様な7組のアーティストが参加するアートエキシビション。また、アーティスティックディレクター・森山未來のメッセージもお届け。

アーティスティック・ディレクターに森山未來、キュレーターに吉田山と渡邊賢太郎、アドバイザーに秋元雄史を迎え、空間設計は建築集団ガラージュが担当。
本展では、私たちの暮らしの中に息づく感性や記憶、無意識的な価値観を新たな視点から捉え直し、そこに内在する美意識や知覚のかたちを再解釈することを試みます。人々の記憶や感覚を呼び覚まし、来場者が無意識に抱える原体験に触れるような、身体的かつ没入的な展覧会を構築します。
出展アーティスト:和泉侃、折元立身、Chim↑Pom from Smappa!Group×小室哲哉、手塚愛子、松岡正剛×森山未來、MANTLE(伊阪柊+中村壮志)、八木良太
Chim↑Pom from Smappa!Group×小室哲哉が初コラボレーション作品《SUN》を発表。
“生命の誕生”をテーマに、出産の記憶と音楽が交差するパフォーマンスを連日開催。

<パフォーマンス出演者>
和田彩花、高村月、MONDO、山田ホアニータ、三浦琉那、奈歩、ほか

故・折元立身による代表作《パン人間》パフォーマンスを、作家不在のもと初めて実施、過去の写真作品の展示とともに、その創造精神の継承を試みます。

手塚愛子が本展のための新作《学ぶことと戻れなさについて(遠近法)》ほか2点を展示。近代化の中で変容した日本文化や美術/工芸を批評的に捉え、歴史と現在を織り直す視点を提示します。

「近江ARS」で出会った松岡正剛と森山未來。両者の対談による音声体験や、森山に宛てた書簡を起点とした共作のパフォーマンスを捉えた写真作品に加え、松岡が編集長を務めた雑誌『遊』全50巻を展示。言葉と身体の往還から、日本的感性の再解釈を試みます。

建築集団ガラージュは、会場である天王洲の地形や歴史をリサーチし、機能性と余白を兼ね備えた空間を設計。道や溜まり場・高台が複層的な鑑賞体験を生み出します。

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今回のエキシビジョンを構成するにあたって、コンセプトに挙がった概念が大きく二つある。
ひとつはアートというものが生み出す流れ。それは都市空間を流れる水脈であり、身体を駆け巡る血流であり、つまりは芸術が人間社会にもたらす活力に改めて着目するというもの。
もうひとつは日本における「アート≒芸術」の再考である。
「アート」という言葉が海外から持ち込まれる以前より、日本には「芸術」と認識されるものは存在している。ただ、明治維新以降の怒涛の文化流入に限らず、古代よりあらゆる文化が海外から押し寄せ、混ざり合い、長い時間をかけて島国の中で独自に醸成されてきたため、そもそも日本文化を一括りに語ることは難しい。
井の中の蛙 大海を知らず されど空の青さを知る
本展のタイトルを考えている時に、この言葉が頭をよぎった。
「井の中の蛙 大海を知らず」は中国由来の著名な諺だが、いつしか後の句が付け加えられて新たな造語となった。その編集の視点も含めて、どこか「日本らしさ」を感じさせる。
グローバリゼーションによって画一化された世界において、独自の視点や美意識を持つことは可能なのだろうか。たびたび「ガラパゴス」と揶揄される日本文化は、本当にただの視野狭窄なのだろうか。
出展アーティストたちの作品を通じて、日本という場がすでに有する芸術の活力を再認識し、それが同時代に生きる私たちがその先へ歩みを進めるための、ひとつの指針となることを願って。
森山未來(アーティスティック・ディレクター)
※本日公開インタビュー映像はこちら:https://youtu.be/jigK4DRSlG0
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「Ahead of the Rediscovery Stream」展は、世代や領域を越えて幅広い作家たちが集結し、彫刻、インスタレーション、映像に加え、匂いや音といった感覚表現、さらにはパフォーマンスまでをも包含する、多層的で豊かな体験をもたらす場となります。観客は空間を巡りながら五感を刺激され、忘れかけていた感性や文化の記憶を再び呼び覚まされるでしょう。とりわけ折元立身氏の象徴的な「パン人間」パフォーマンスが、志を継ぐ者たちによって実施されることは、創造の精神が個を超えて未来に受け渡されていく象徴的な瞬間となるはずです。
また、アーティスティックディレクターを務める森山未來さんの挑戦的なディレクションと、編集者・思想家として晩年まで深い洞察を与え続けた松岡正剛さんの交差する点にも、大きな意義を感じます。森山氏の身体性に根ざした思索と松岡氏の広大な知のネットワークが、展覧会全体を導く「流れ」として作用し、観客に強い印象を残すことでしょう。本展が「再発見から未来へ」のストリームを鮮やかに描き出し、アートの新しい地平を切り拓く契機となることを心から期待しています。
秋元雄史(アドバイザー)