2000年12月29日に新潟フェイズで行われたライヴはJanne Da Arcにとってもファンにとってもある意味で特別な日だった。ファンの人ならこういっただけで理解できるだろう。不親切なのでちゃんと説明すると、まずツアーのラスト前であること、このツアーでの唯一のオールスタンディングでのライヴだったこと、そしてJanne Da Arcが生まれ出でた世紀のラストライヴだったということだ。

 会場となった新潟フェイズはそういった特別な意味もあり、ライヴ開始の遥か以前から人が集まり始め近隣の街角にも「あ、あの子はJanneファンだな」と思われる人たちがたくさん集っていた。

 はっきり言うと今この文章を書いているライターであるボクはJanneのライヴを見るのは初めてだった。今まで色々なライヴ、コンサートを見ていたが実は今回ほど女性、いや女の子のファンが集まっているライヴを見るのは初めてと言ってもいい。そういった意味もあって開場前から集っている若いファン(はっきり言ってボクの娘でもおかしくないのかもしれない)の顔を見るのは新鮮でもあった。

 時間がやや押してライヴが開始されたとき、フェイズの決して広くはないが狭くもない会場がいきなり大音響に包まれた。そう、オープニングのヴィジュアルに添えられたサウンドと、それに呼応するファンの子の声。悲痛さは一切ないが、大きな期待感を現すかのように分厚い声が響く。

 一曲目の『seal』が始まるとファンの子たちのヘドバンが一気に始まる。最前列にいる子も最後列にいる子も(ちゃんとチェックしたのだ)、隣の人、前の人に身を任せたようにして頭を振り続ける。ボクがやったらおそらく次の日はムチウチだろうな、と思いつつ、こんなにまでしてファンを一気に盛り上げられるJanneのパフォーマンスが凄いんだろうな、と素直に思えた。

 そして『RED ZONE』でさらにヴォルテージがあがる。次々に繰り出される曲にファンは見事についていき、そしてヒートアップし続ける。前回のレポートに開始20分で筋肉痛は確定と書いてあったが、確かにその通りの熱いステージが続いた。

 最初のMCではいつものように地名を叫ぶyasu。「新潟〜!!」と叫ぶyasuにファンも「ウォォォォォォ」という怒号で答える。もちろん野太い声ではなくてかわいい声ばかりなのだが。男のファンもかなり元気に声を出しているのだが、やっぱり女の子にはかなわないのか、声自体はあまり聞こえない。

 MCの中でオールスタンディングのこと、今世紀最後のライヴであることにyasuも触れた。新潟のファンはある意味でラッキーなのかもしれない。どのライヴももちろんたったひとつのステージであることは変わりないのだが、この新潟はそのたったひとつ、にコレだけ、っていう形容詞が何重にも重ねられたライヴなのだから。

 こうしてライヴが突っ走って行くなかでボクは一瞬ライターである立場を忘れて一緒になってライヴに陶酔していた。素直にyasuやyouとshujiのかけあいには素直に大爆笑させてもらったし、ka-yuのなぜかテレながら行うパフォーマンスにも笑わせてもらった。kiyoはあんまり前面には出ないのかなあ、なんて昨日ファンになった人のように構成を理解していようとしている自分に、なぜかおかしくなったりもしたけれど。

 こうしてライヴが2回のアンコールまで終了したときに、ボクはあることに気づいた。客電が点灯して、撤収が始まったときのことだ。普通のライヴではお客さんはとっとと帰る。でもJanneのファンはなかなか帰ろうとしない。周りの子と話をしたり汗を拭ったりしながら、離れがたいのかずーっとそこに留まって、雰囲気を楽しんでいたいようだ。そしてみんなとってもいい顔をしている。誰一人として暗い顔をしている子はいない(テンションを上げすぎちゃったのか、疲れ果てた顔をしている人はいましたが)。

 そう、ライヴを心から楽しんだよ、っていう顔で溢れ返っていたのだ。こんなライヴはJanneのライヴでしか経験できないのかもしれない、と感じたボクは時間の都合もあってスグ新潟を後にした。また、春のツアーで魔法のように盛り上げるJanneと、とってもいい顔をしたファンに会いたいな、と思いながら。

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