ペトレンコ&リヴァプール・フィルの初来日に期待する!
サイモン・ラトルを抜擢したバーミンガム市響の大成功以来、幾多の英国の楽団が有能な若手をシェフに迎えるようになった。そのなかで、近年、際立ってすばらしい成果を収めているのが、ヴァシリー・ペトレンコとロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団(以下リヴァプール・フィルと略)だ。2004年11月に初共演し、2006年9月にプリンシパル・コンダクター(Principal Conductor)、2009年にチーフ・コンダクター(Chief Conductor)となったペトレンコは、リヴァプール・フィルの各声部を鮮やかに響かせながら、スケール感とメリハリに富んだ指揮ぶりを披露。旧ソ連邦出身でありながら、独裁者型ではなく、手兵を巧みに統御し、ともに音楽を形づくっていこうという姿勢が好ましい。1840年に創設されたリヴァプール・フィルは、ディスクを通じて日本の音楽ファンに親しまれてきた楽団であるが、若きシェフに率いられ、ついに待望の初来日が実現する!
ペトレンコ十八番のお国物が並ぶ演目に、期待は高まるばかりである。
満津岡信育(音楽評論家)
イギリスで高い評価を受ける辻井伸行!
「辻井伸行は英国のオーケストラから本当に愛されている」-と当地で彼の公演を聴くたびに実感する。それは彼の類まれな演奏能力はもちろんのこと、その気取らない自然体の演奏姿勢と、心から音楽を楽しんで表現していることが奏者たちに、ひいては聴衆にも伝わるからであろう。
2012年にアシュケナージ指揮フィルハーモニア管とロンドン、ブライトン及びブリストルで共演、さらに昨年のBBCプロムスにおけるBBCフィルとのラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は感動の渦を巻き起こし、ついにはリヴァプールの由緒ある楽団との来日が実現する!ロイヤル・リヴァプール・フィルは気鋭のロシア人指揮者ヴァシリー・ペトレンコが首席に就任して以来、国内外で評価が急上昇中であり、特にロシアものに定評があるので、今回もエキサイティングな共演になると確信している。
後藤菜穂子(ロンドン在住音楽評論家)
ショスタコーヴィチ:
祝典序曲 (ロイヤル・リヴァプール・フィル創立175年記念演奏)
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 [ピアノ:辻井伸行]
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番
新たなる挑戦!
辻井伸行が競演するラフマニノフのピアノ協奏曲第3番は、ピアノ協奏曲史上屈指の難曲にして名曲と評される人気作品。協奏曲第2番の名演が高い評価を受け、コンクールの優勝を勝ち取った辻井伸行が、その優勝から5年の年月を経て、満を持して初挑戦する。ロシア出身のペトレンコの情熱的なサポートを受けた、燃焼度の高いパフォーマンスには、圧倒的な感動が期待される。
ストラヴィンスキー:火の鳥(1919年組曲版)
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 [ピアノ:辻井伸行]
ストラヴィンスキー:春の祭典
ロンドンの聴衆を熱狂させた協奏曲を日本で初披露!
2012年5月、アシュケナージの指名を受け、フィルハーモニア管弦楽団の定期演奏会にソリストとして登場した辻井伸行は、難曲として知られるプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を、圧倒的な超絶技巧と美しい響きにあふれたパフォーマンスで熱演し、スタンディング・オベーションを受ける大成功を収めた。今回、ロシア出身で、クールさと情熱を併せ持つ注目指揮者ペトレンコのサポートを得て、ついに日本でお披露目するチャンスを得た。まさに千載一遇の圧倒的な演奏が大いに期待できる。